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群馬県指定重要無形民俗文化財 天引の麦祭り(あまびきのばくまつり)
最終更新日:2012年04月06日
平成24年3月23日に群馬県指定重要無形民俗文化財に指定されました
甘楽町大字天引に鎮座する諏訪神社の祭典の天引の麦祭りは、「天引の麦祭り」
(あまびきのばくまつり)の名称で群馬県指定重要無形民俗文化財に指定されました。
天引の麦祭りは、麦供(ばくぞなえ)、バクッパ、鬼殻(おにごく)とも呼ばれて
いる祭りで、大麦と小豆を麦飯にしてバクッ葉(ノウゼンカズラ科のキササゲの葉)
に盛り、大根葉の籾漬けを添え、大根葉入りの味噌汁をかけて神前に供えるという
珍しい神事です。この麦(ばく)を食べると風邪をひかず、家内安全・無病息災等
であると言われています。
麦祭りの起源は不詳ですが、当地は古くから新屋(にいや)明神が祭られ、『続日
本紀』延暦16年(797)には、諸国に牛馬の牧が開設された。とあります。そして、
当地周辺一帯に「仁比屋(新屋)の牧」が開かれ、新屋明神は「仁比屋の牧」の守り
神としても祭られるようになりました。明治時代に諏訪神社に合祀されています。
天引の麦祭りは、「仁比屋の牧」の関連神事と考えられ、新屋明神の伝統神事を
1,200年余にわたり色濃く受け継いできた祭りといえます。
現在は8月第4日曜日と10月第3日曜日に開催されています。
以下、麦祭りの内容を紹介します。
麦(ばく)を炊く準備
籾殻(もみがら)をむいた大麦を研ぎ洗いして、大釜(内径64×深さ55cm)に
入れ、水を大麦の2倍入れます。小豆(あずき)も洗って大麦の1割程釜に入れ
ます。これらは相談役と呼ばれる人の指示で行います。
麦(ばく)の炊き上がり
20分程で煮立って来ますと、相談役の指示で蓋を開け、大杓文字(おおしゃもじ)
で釜肌を丁寧に底から上に良くかき回し、蓋を閉じます。これを5分間隔で行い、
30分後に蓋をして30分蒸らします。
半切に移す
炊き上がった麦飯を半切(はんぎり)に移します。この麦飯を麦(ばく)と
呼びます。
半切は内径74×深さ33cmで、ゴザを蓋の代わりにかぶせておまきす。
行列
午後1時に法螺貝(ほらがい)が吹かれます。神主、役員、獅子舞などの関係者
一同が集まり、御神酒で清め行列を組むまでの一連の行事である「お立ち」が行
なわれ、神主を先頭に諏訪神社まで10分ほど行列を組んで行進します。
麦(ばく)の入った一つの半切を3人でかつぎ、「エイトー、エイトー」と掛け声
を掛けながら進みます。
神事
神社に着くと役員が拝殿に上がり、バクッ葉に麦(ばく)と大根葉の籾漬けを
盛り、大根葉の入った味噌汁をかけ、神前や境内に祭られている社(やしろ)
にお供えします。その後、神主により神事が行われます。なお、味噌汁は祭典
当番長宅で、当番長自らが作る習わしとなっています。
獅子舞奉納
神事が終わると獅子舞が奉納されます。一人立ち三頭獅子で、案内役のカンカチ
も舞に加わります。
甘楽町指定重要無形民俗文化財に指定されています。
神楽舞奉納
続いて神楽舞が奉納されます。
甘楽町指定重要無形民俗文化財に指定されています。
バクッ葉と麦(ばく)
ノウゼンカズラ科のキササゲの葉を「川桐の葉」や「バクッ葉」と呼んでいます。
写真はバクッ葉に小豆の入った麦(ばく)を盛った状況です。氏子等はこれを持ち
帰り、家族はもとより、家畜にまで食べさせ、五穀豊穣(ごこくほうじょう)、
家内安全、無病息災(むびょうそくさい)を祈ります。
麦(ばく)の授与
神楽舞が終わると半切の中の麦(ばく)が授与されます。バクッ葉に盛って
もらい、包んで持ち帰ります。
これで一連の神事が終わります。このあと関係者一同で酒宴します。これを
直会(なおらい)と言い、これで麦(ばく)祭りが終了します。
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