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■新聞記事から

《楽しくなれ学校 授業が変わる》(4)生活科(中)魚屋さんは"水族館" 遊び感覚で授業に幅
(1992,04,04上毛新聞フロント・連載)

 「うわぁー、気持ち悪い」「生きてる、生きてる」。店頭でうごめくタコを見て、気味悪がる女の子。それと対照的に指でつついて興味を示す男の子たち。母親がスーパーで買ってくる、冷凍の切り身魚しか知らない児童にとって、鮮魚店は旺せいな好奇心をかきたてる小さな水族館だ。
 甘楽郡甘楽町新屋小(遠田留吉校長)二年生の昨年の生活科授業。新指導要領を控え、昨年から地域特性を考えた体験学習に取り組んできた。社会生活のすべてが授業の対象となる中、同校では、さまざまな職場とそこで働く人の観察をテーマに選んだ。
 こうした最初の試みが昨年五月に行った鮮魚店の見学。「地域にスーパーはあっても、魚屋さんがない。社会にはごく普通にある魚屋さんを知ってもらうため、隣の吉井町まででかけました」と坂本和子教諭(38)。
 「何時ごろ起きるの」「どこで捕ってきたの」「海から捕ってきたんだよね」―。応対してくれた店主に、二年生六十七人の素朴な質問が矢継ぎ早に飛ぶ。分かりやすい説明の後、店主は鮮やかな包丁さばきで魚をおろし、刺し身にして振る舞ってくれた。子供たちの目は、目前で演じられる職人芸にくぎ付けだ。「店員さんの長靴、ゴム製の前掛け姿にさえびっくりしていた。やはり、直接見ることによって受ける感動は想像以上に大きい」。多胡均教諭(26)は、初の取り組みを振り返ってこう総括する。
 二度目の試みは地域の交通機関である上信電鉄と駅で働く人たちの勉強だ。最寄りの上州新屋駅から乗車し、上州富岡駅まで向かう。行動はすべて子供たちまかせ。もちろん教師も同行するが、いわゆる引率者ではない。子供たちは四、五人のグループに分かれて行動し、学習のポイントである「何を見るか」も自分たちで考えて決めた。
 駅員に行き先を告げ、一人ひとりがキップを買う。分からないことはグループ内で相談、解決するのが原則。切符をなくして泣きだしてしまう子もいた。それでも「事前学習を通し、子供が、遊びに行くのではないということを分かっている。だから車内で騒ぐ子もいなかった」(坂本教諭)。
 見学した駅事務室では、切符の自動券売機の裏側を見せてもらい、ロール状に巻かれた切符にびっくり。ホームでは助役に、早朝から深夜まで、住民の足として電車を動かすために、駅員が交代で働いていること、信号の見方や旗の振り方などを学んだ。
 この校外学習の仕上げとして行われたのが、電車ごっこ。教室にホームや線路を作り、それぞれが駅長や車掌を演じてその成果を確認した。学ぶことの面白さを知ってもらおうと、遊び感覚を取り入れ、授業の幅も広がった。「ただ、事前の準備に多くの時間がかかる。教師からの一方的指導でなく、子供たちの興味や主体性を育てるためには、もっと時間がほしい」というのが、担当教諭の一致した意見だ。
 スーパーやコンビニ店の進出で昔ながらの専門店が姿を消し、急速なモータリゼーションはバスや電車に乗る機会を奪った。その結果として、学校教育の場に持ち込まれた「生活科」。週三時間の枠の中で、どう効果的に暮らしの基礎知識を学ばせるか。同校の模索は、今、始まったばかりだ。


(c) JOMO SHINBUN 記事提供 上毛新聞社 禁転載

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